京都森林・木材塾のお知らせ

インタビュー「この人に聞く」府木連会長

〜この人に聞く〜 <第1回>
(一社)京都府木材組合連合会 会長 辻井 重氏

[聞き手:広報担当 藤田まり]

インタビューに応じる辻井会長
 
辻井会長の挨拶 (左)山下副知事など来賓

去る5月28日開催の府木連社員総会において辻井重氏(現 全木連副会長・近畿支部長、本塾顧問)が府木連会長に選任されスタートいたしました。辻井会長に森林・林業・木材産業に対する思いをお聞きいたしました。

この度、社員総会で府木連会長に選任され、おめでとうございます。現在の率直なお気持ちなり抱負をお聞かせください。

[辻井]会長になって8年、前半の4・5年は木連の会員に対する情報提供などが中心でした。しかし3・4年前からは、公共建築物木材利用促進法により、国や京都府などが率先して地元産木材を利用する施策に転換しました。

これに対応するためには、府、府森連などと連携する必要があり、仕事の内容も大きく変わってきました。課題が山積していますが、府内産木材の利活用に目途が立つよう、私ども府木連が中心になって活動していきたいと思っております。

府内産木材の利用促進に対応するため、府木連としてどのような活動をされますか。

[辻井]府内産木材の利活用を円滑に進めるためには、品質や納期は勿論、安定的に供給できる体制が必要です。このため、関係機関なり団体・事業者が連携して川上から川下まで一体となって取り組む必要があります。今、ようやくスタートラインに立ったところです。

品質や性能が保証された木材を供給するために、府木連が京都木材規格(JAS相当)の「認定機関」として位置づけられており、普及・啓発を行っております。また、京都には木材を乾燥するための施設が少ないため、行政とも連携して整備できればと思っております。

そして、川上の林業から消費者に至るまで、一貫した対応ができるよう、木材加工ネットを確立していきたい。課題が多く大変ですが、一歩一歩前に進んでいきたいと思います。

わが国は森林が多いのもかかわらず、木材利用が少ない。もっと木材を利用するためにはどうしたらよいとお考えですか。

[辻井]昭和30年代からの外材輸入の自由化により、コストが安い木材が大量に供給され、わが国林業は衰退の一途をたどってきました。その結果、森林が放置され、国民全体が森林や木材に関する意識がうすれてしまいました。

近年、地球温暖化防止や自然環境の保全の面から森林が見直されています。今では国を挙げて間伐を推進するとともに、公共施設では率先して地元産木材を利用しております。

更に、昨年に始まった木材利用ポイント制度により、わが国の木材自給率も3割近くに回復しました。「WOOD JOB」も木材利用ポイントに関連して制作された映画と聞いております。これを機会に木材利用の機運が高まればいいですね。

私の会社(辻井木材)では、昔は外材が8〜9割を占めていました。今では京都産木材が約4割となりました。地元産木材を使うようになったのは、全国的な傾向だと思います。

このためにも府木連の果たす役割は大きいと思います。

木材の特性を知らない設計士が多く、木造施設の設計士が少ないと聞いておりますが。

[辻井]たしかに設計士を育てる教育現場でも、木に関する知識を教えるのが不十分な現状で、コンクリートや鉄での設計が中心です。木材の良さや特性をより多くの設計士に知ってもらうことは、大きな課題です。

府木連では、府などと協力して設計士、コンサルタントなどと木材に関する勉強会や説明会を開催しています。また、木材価格をホームページで示すなど、木材を利用しやすいよう努力しています。

京都府では、モデルフォレスト運動・林業大学校設立と先進的な取り組みをしているが、京都府に望むことがあれば。

[辻井]機会あるごとに、林務課には言っており、また、山田知事には、年一回要望書を提出し要望しています。その内容は、府発注の木造施設について、品質や性能が保証された京都木材規格(JAS相当)を仕様書に明記していただきたいということです。

山田知事の号令のもと、担当の林務課との連携はとれてきましたが、全体的に緒についたばかりです。府木連といたしましても、いっそう京都府と連携するとともに、最重要課題として取り組んでいきたいと思います。

映画「WOOD JOB」を観た感想をお聞かせください。

[辻井]私は原作も読んでみましたが、なかなかおもしろかった。映画は、コメディタッチで描かれており、林業や木材に関係のない人でも興味をもった人が多いと思います。森林(やま)を育てるのは大変なのだと感じた一方で、このような社会があるのだとの驚きだと思う。

去る5月15日の全木連総会で林野庁長官の挨拶で映画ランキング6位であるが、何とか5位に上げたいとの話があった。このように、林業に関心のなかった若者が林業に目を向けてくれたのは、画期的だと思います。第二弾を期待しています。

インタビュアーの感想

辻井会長の趣味についてお聞きしますと、学生時代は野球・スキー、現在では夫婦揃ってのテニスとのこと。いつまでも若く、京都産木材の利用促進に頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

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