京都森林・木材塾のお知らせ

インタビュー「この人に聞く」府森連会長

〜この人に聞く〜 <第2回>
京都府森林組合連合会代表理事会長 青合幹夫氏

[聞き手:広報担当 藤田まり]

インタビューに応じる青合会長
 
府森連総会 左:青合会長 右:梅原前会長
能面 小獅子(こじし)

去る6月10日開催の府森連通常総会において青合幹夫氏が府森連代表理事会長に選任されスタートいたしました。青合会長にこれからの森林・林業・木材産業に対する思いをお聞きいたしました。

この度の通常総会で府森連会長に選任されおめでとうございます。青合様にとりまして、7年間の専務を経験されての会長就任でございます。現在の率直なお気持ちなり抱負をお聞かせください。

林業がだんだん難しくなっている中で、会長という大役を引き受けることになり心許ない面もありますが、私は京都府職員として、ずっと林務関係の仕事をしてきたこともあり、ある意味では宿命かなとも思っております。

他の産業と同様、林業施策が大きく変貌してきた時期の7年間専務を勤めてきましたが、これからの時代を乗り切るには新しい知識と経営感覚が必要であり、このたび、フレッシュな感覚をもつ人を専務として迎えることとなりました。その一連の流れのなかで会長を引き受けることになったもので、今は身の引き締まる思いで一杯です。

現在、国をあげて地元産の木材を使用しようとの機運が高まっております。京都産木材を安定供給するためにどのように対応しようと思っておられますか。

京都府では国有林が少なく民有林が98%となっております。民有林の内、戦後植林した人工林が約4割、そのうち50年生以上で利用可能な森林が6割近くになりました。これは全国的にも同じ傾向で、国をあげて地元産木材を活用する動きが高まり、平成22年に「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、公共施設では率先して木材利用することとなりました。

また、昨年からは木材利用ポイント制度(最大60万円助成)が始まりましたし、映画「WOOD JOB」もこれに関連して制作されたものと聞いております。東京オリンピック・パラリンピックにおける施設整備もできるだけ木造化、木質化していくということで進められており、品質のそろった木材を安定的に供給する体制の整備が急がれております。

京都府内においても公共施設が更新時期を迎えつつあり、製材品はもちろん、合板や集成材を生産するため、大量の原木が必要となります。これに対応するために、京都府の構想では、間伐材を安定的に供給するためのストックヤードが4ヵ所(3木材市場と森連加工センター)必要とされていますが多くの課題があります。このため京都府さん共々、その仕組みを詰めていきたいと思っております。また、間伐を中心とした森林整備をさらに進めていくためには、近くの森林組合同士が力を合わせたり、民間林業者と連携することは必要ですので、森林を守り育てる運動を進めているところです。

田舎に帰ると、荒れ放題の森林が見うけられますが、京都府における森林環境税導入の見通しはどうでしょうか。

全国47都道府県のなかで、35県で導入されております。平成15年以来、府森連として京都府知事に森林環境税の創設を要望してきましたが、リーマンショック、東日本大震災の復興税、消費税の引き上げなどによって、導入が見送られてきました。昨年3月、森林・林業京都会議の機会に森林組合長会議を開催し、改めて創設の必要性を決議し、この後取り組んだ賛同署名を糧に、昨年6月府議会に請願書を提出し、採択されました。今年の6月府議会では、山田知事から一定前向きな答弁があり、導入も近いのではないかと期待しております。

森林環境税が導入されれば、今まで以上に間伐が進み、安定供給するためのストックヤード設置、製材加工施設や乾燥施設の整備など、川上から川中・川下まで一体となって木材の循環利用に取り組むことができ、京都の森林を守り育てるためには大いに役立つのではないかと考えております。一日も早い導入を切望しています。

京都府では、モデルフォレスト運動、林業大学校設立と先進的な取り組みをしていますが、京都府に望むことがあれば。

モデルフォレスト運動は、府民の参画と協力により府民ぐるみの森づくりを行っているもので、森林を循環して利用しようとする芽が育ちつつあります。わが国では京都だけが取り組んでおり、全国に広がればと思っております。

西日本でただ一つの林業大学校は、山田知事の強い思いにより平成24年に設立され、今年3年目を迎えます。3月初めての卒業生を送り出し、17名の卒業生のうち16名が森林組合などに就職することができました。府林務関係職員の懸命な努力によりやっと軌道に乗りつつあり、私どもも協力させていただいております。大いに期待しております。

映画「WOOD JOB!」を観た感想をお聞かせください。また本塾の活動に対して何かありましたら。

この映画により、林業に興味をもった人が多かったと思います。ただ、いいとこ取りをした面もあるように思います。現実の林業は、足場が悪い場所でチェンソーによる伐採作業も多く、事故発生率が非常に高い仕事です。また、他の業種に比べて低賃金なうえ、雨の日には仕事ができません。京都府でも綠雇用事業によって平成18年から約160人の研修生が林業現場へ就業したんですが、定着したのは約6割で4割はやめている現状です。自分の思いと実態の厳しさの違いを感じたのではないかと思います。

京都森林・木材塾の活動については、“木”に関する情報はすべて森林・木材塾からということで、中身が充実していると思います。情報の発信がうまいですね。今、NPO法人への移行手続き準備中とのことですが、大いに期待しております。がんばってください。

インタビュアーの感想

青合会長の趣味は、30年以上前からやっている尺八と能面づくり。また、毎週日曜日、近くの公園で近所の方達に太極拳を教えているとのこと。さらに、機会があれば謡曲をやりたいと多趣味でいらっしゃるのには驚きました。『趣味は忙しい日常の中でこそできる』とのお話。私も見習いたいと思います。

団体のページに戻る

京都木材情報局

ログイン